冬になるとユニクロのヒートテック商品が話題になるので、ヒートテックの原理と個人的な評価とを紹介します。
ユニクロのヒートテックが暖かくなる原理は、吸着熱(きゅうちゃくねつ)です。
吸着熱とは、繊維に水分が付着すると暖かくなるという現象で、特に珍しい現象ではありません。どのような繊維でも水分が付けば、吸着熱により発熱するので、ヒートテック素材が特別な繊維というわけではありません。
吸着熱を多く発生させた方がより暖かくなるので、ヒートテック商品は、体から出た水分を繊維により多く付着させるために、糸の表面積が広くなるように工夫した糸で作った商品だと言えるでしょう。
例えば、○型の糸よりも☆型の糸の方が表面積が多くなり、より多くの吸着熱を発生させることができるわけです。
「よって、ユニクロのヒートテックは暖かいと言える」と言いたいところですが、そうはいきません。
体から出た水分は繊維に付着して吸着熱を発生しますが、その水分はやがて蒸発してしまいます。
水分が蒸発するときに熱を奪っていきます。この現象を気化熱(きかねつ)と言います。
夏場の夕暮れになると、庭に水をまくと涼しくります。これは蒸発する水分が熱を奪っていくから、涼しくなるのです。(「打ち水効果」といいます。)
とうぜん、たくさんの水分が蒸発すれば、それだけ気化熱も多くなるということになります。
つまり、吸着熱にようり発生する熱が多くなれば多くなるほど、気化熱によって奪われる熱も多くなるということになります。
したがって、「ユニクロのヒートテックは暖かいとは言えない」と言っても過言ではありません。
今回はユニクロのヒートテックを例に取り上げましたが、「体から出た水分で発熱する」システムの商品は同じ原理なので、基本的に同じだと思ってよいでしょう。
わずかな温度変化を敏感に感じる人は別として、ユニクロのヒートテックが同じタイプの他の肌着よりも暖かいと感じている人は、基本的にプラシーボ効果(心理的な要因)なのではないかと思います。
最後にユニクロのヒートテックの評価を書いておきます。ユニクロのヒートテックやミズノのブレスサーモ極寒タイプのインナーやタイツを使っていますが、特に暖かいとは思いませんでした。
ただ、3000円・4000円と高価な商品は別として、ユニクロのヒートテックは1000円台なので、肌着として購入しても良いと思います。
次の冬はグンゼのホットマジックを購入予定なので、時間があればまたレポートします。
ヒートテックの保温性については、ヒートテックの原理2で紹介しています。
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ヒートテックの効果は心理的か?
プラシーボ効果(心理的な要因)なのではないかと意見ですが、それだけではないようです。
ヒートテックは、保温、ドライ、吸着発熱の3点の組み合わさった効果だと考えると理解できます。
皮膚に近いところで、吸着発熱(吸湿性に優れた特殊な綿が、体から蒸発する水分を吸収して熱エネルギーに変換し、素材自体が温かくなる)します。吸収した水分がそこで蒸発すれば、気化熱を奪われるので、効果なしですが、水分が外側へ拡散し、そこで蒸発すれば、外側は冷たくなります。そして、保温(中が空洞の糸を65%使っており、空気層の断熱効果であたたかさを維持)効果、すなわち、空気の熱伝導率が低いために、皮膚の熱が繊維の外へと逃がさないということです。
私は、以上の説明で納得していますので、単なる心理効果でないと思います。
森林 : 2009年12月10日(木)
ヒートテックの発熱の仕組み
コメントありがとうございます。本文は説明不足で、補足しておきます。後出しじゃんけんになる部分もありますが、ご了承下さい。
それと、今回の記事は、ヒートテックの発熱の原理や発熱だけを取り上げているので、「暖かい=発熱」と考えてください。
さて、私は、ヒートテック商品は他の繊維と比べて、爆発的に話題になるほど、暖かくないと思います。他の繊維よりも話題になるほど暖かく感じるのは、プラシーボ効果(心理的効果)とイメージ戦略によるものだと思います。
ヒートテック繊維が発熱する理由は「吸着熱」です。この吸着熱はヒートテックだけに起こる現象ではなく、全ての繊維で起こる現象です。だから、全ての繊維が体から蒸発する水分で発熱します。
ある繊維協会がヒートテック繊維と非ヒートテック繊維を比較実験を行っています(商品名を題していないのですが、発熱の原理は同じなので便宜上、ヒートテック繊維としておきます)。
ヒートテック繊維に水を噴霧すると、数分後に約2.2度上昇しますが、それをピークに温度は下がっていきます。これは、吸着熱で温度が上がり、気化熱で温度が下がることを証明しています。
一方、非ヒートテック繊維も同じように形を描き、温度が上昇した後、温度が下がります。
ある繊維協会の実験結果を見る限りでは、吸着熱により発熱しますが、気化熱により同等量の熱が奪われるため、結果としてプラスマイナスゼロになります。
したがって、ヒートテック商品が他の繊維に比べて特別に暖かいとは言えません。
どの商品も同じですが、メリットを全面的に押し出して、デメリットは取り上げないので、「ヒートテックは暖かい」というイメージにより、実質の数値よりも暖かく感じる人が多いのではないかと私は思います。
ただ、森林さんのご指摘のように、着衣としての暖かさは保温性によるところが多いのですが、今回は発熱だけを取り上げているので、保温性や中空糸については、今回は考慮していません。それと、中空糸についてのリンクを追加しました。
FC2ちゃんねる管理人 : 2009年12月10日(木)
ヒートテックの原理についてのコメント
朝出かける前の短時間に意見を書きましたので、説明不足があって意図が伝わらなかったと反省しています。くどいかもしれませんが、コメントを書き直しました。
皮膚から蒸発した水蒸気が、繊維上で結露して液体の水に状態が変わるときに、液化熱を出します。気体を液体に変化させるときの液化熱は、蒸発熱と絶対値が等しく、符号が逆になります。蒸発(液化)熱は 40.8 kJ/mol と大きいので、繊維付近は温度が上昇します。この現象は、ご指摘のように、どの繊維でも同じはずですので、ヒートテックが優れるとは考えにくいです。
結露した水分が同じ場所で蒸発した場合には、気化熱で再び冷却されるので、どの繊維でも同じ温度変化を辿ることは、当然です。すなわち、繊維の片面に水蒸気を当ててその後の温度変化を調べた場合には、異なる繊維間に大きな差がないということです。
しかし、もし、結露した水分が、繊維の中を通って、繊維の外側(皮膚と反対側)に迅速に移動し、そこで、水分が気化すると仮定します。ヒートテック繊維が他の繊維に比べて、移動距離が短い(生地が薄い)、あるいは、繊維の外側で気化しやすいとすれば、繊維の外側では気化潜熱を失い、冷たくなると想像されます。この結果、繊維を挟んで皮膚側と外側で大きな温度差が発生します。温度変化は、2箇所で調べるべきです。
この条件で、繊維の熱伝導率が小さく、すなわち、熱が伝わり難い場合には、皮膚側の高温を維持できることになり、結果的に暖かいと感じることができると思います。
実験のデザインとして、2つの箱を用意し、室温は低く保ち、箱内は体温程度に暖めて、高湿度に維持します。箱に穴をあけて、それぞれに2種類の繊維を張り付けておけば、箱内の水蒸気は、繊維上で結露し、その水は繊維の外まで移動します。移動は、繊維内の水ポテンシャルの差で乗じます。外側が乾燥していれば、落差が大きくなり、水の移動が早くなります。これは必要条件で室内を低湿度に保てばよいでしょう。
このときに、繊維の外側と内側の表面に熱電対など温度を測るセンサーを取り付け、両者の温度を二つの繊維上で測れば、繊維のもつ実質的な効果か、プラシーボ効果かを判定できます。
理屈だけでいえば、繊維の内側で結露した水がどのくらい迅速に繊維の外側に移動し、乾くかです。乾き難い素材であれば、内側で結露したままですので、液化熱が発生しにくいことになります。
また、断熱性がなければ、繊維の片側で測定したことと同じで、まったく意味がありません。
暇があれば、このような装置を作って計測してみたいですね。面白い理科の実験になると思います。おそらく繊維会社はさまざまな試行錯誤を行い、ヒートテックを開発していると思いますので、このような実験は当然実施したと想像します。なぜ、具体的なデータを公表しないのでしょうかね。
私は、ヒートテックに少し疑念を感じていましたが、上記のように理解したので、心理的だけでなく、実質的に暖かいと信じるようになりました。しかし、最終的な確信を得るには、最後は実験で確認することですね。
森林 : 2009年12月10日(木)
ヒートテックの比較実験
詳しい説明ありがとうございます。
確かに、2カ所で計測すれば、より正確なデータが得られると思います。しかし、私は温度を計るのは内側だけで十分だと思います。
なぜなら、人間に直接影響するのは生地の内側の温度だからです。
例えば、部屋の内で暖房をつけます。このとき、室外の温度は、室内に居る人間に直接影響するでしょうか?
仮に、温度の発生する吸着熱をクーラーの室外機とし、温度を奪う気化熱をクーラーの室内機とし、それぞれの生地を壁とします。
ヒートテックは、生地の内側で吸着熱により発熱して、生地の外側で気化熱により熱を奪うシステムだとします。
これを、クラーの室外機を中にして、室内機を外にした部屋でヒートテックを再現します。この部屋は、室内で発熱して、室外を冷却しているので、「ヒートテック部屋」と名付けます。
一方、一般的な繊維は、生地の内側で吸着熱も気化熱も発生するとします。
これを、クーラーの室外機も室内機も部屋の中に入れた部屋で一般的な繊維を再現します。この部屋は、室内で発熱して、室内を冷却しているので、「一般的な繊維部屋」と名付けます。
どちらの部屋も、室内に居る人間に直接影響するのは室内の温度だけです。室外の温度が-10度でも-20でも、室内の温度が15度であれば暖かいと言えます。
室外の温度は人間に直接影響しません。室外の温度が影響するのは壁です。そして、壁が影響するのは室内の空気です。このとき、壁に断熱性がなければ、室外の温度は室内の温度に影響を与えます。
もし、ヒートテック部屋が断熱性に優れているのではあれば、室内の温度は室外の温度に影響されません。
一方、一般的な繊維部屋が断熱性に劣っているのであれば、室内の温度は室外の温度に影響されます。室外の温度が室内の温度よりも低ければ、室内の温度は下がります。
したがって、ヒートテック部屋と一般的な繊維部屋とはどちらが暖かいかを比べるには、単純に2つの部屋の室内温度を測れば十分と言えます。
よって、前回のコメントで紹介した繊維協会の実験結果は、繊維の片面だけの測定であったとしても、信頼できる中立的な実験だと言えます。
さらに、繊維協会の実験結果は、吸湿して発熱する繊維を使用したアンダーウエアを製造している業者または糸メーカー(社名は非公表・2社は非解答)が岩手県民消費者センターの質問に対して、「温度上昇が大きいのは5分過ぎ位までで、それ以降は平衡するか発熱が緩やかになる」と解答したことと一致しているのです。
FC2ちゃんねる管理人 : 2009年12月12日(土)